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日本のMMA(総合格闘技)史上、歴代最強の選手!「堀口恭司」!その強さの秘訣とは?

総合格闘技 グローブ

「間違いなく、今までの日本の総合格闘技の歴史上の中でもダントツで最強の選手ですね。」

これは年末のRIZINで試合解説を務めていた時の、かつての“修斗のカリスマ”佐藤ルミナ氏によるコメントです。

「日本の歴史上最強、しかもダントツで」というのは、ともすればかなりの過大評価に聞こえてしまってもおかしくないぐらいの言葉ですが、それが過大評価どころか真っ当な評価と言って差し支えないぐらいの、異次元クラスの強さを見せつけている選手がいます。

それがUFCから現在、日本の興行『RIZIN』に主戦場を移した、堀口恭司選手です。

総合格闘技発祥の地でもある日本では、これまで桜庭和志選手、五味隆典選手、山本KID徳郁選手などの世間的にも浸透しているようなスター選手を含め、数多くの選手たちが鎬を削り合ってその時代を創り上げてきました。

いずれの選手たちも、全盛時はご存知の方も多いように、とてつもない強さを誇っていましたが、それをもちろん見てきている上でも『間違いなくダントツで、日本の歴史上最強』とまで評されている堀口恭司選手とは一体どのような選手なのか??

今回の記事ではそんな堀口恭司選手の強さの秘密を深掘りしていきたいと思います!

格闘技が好きな方もそうでない方もご覧になってみて下さい!

堀口恭司選手の強さの秘訣とは?アマチュア時代からすでに突出した強さ!

Beatsさんにとってもらった写真!! #beats #reebok #hmcjapan

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「最近、修斗の若手で化け物みたいに強い選手が一人いるらしい」

 

僕が初めて堀口選手の名前を耳にしたのは、格闘技好きの友人のそんな一言だったと思います。

2010年にプロデビューを果たした堀口選手は、バックボーンである伝統派空手(寸止め空手)を武器に、これまでの総合格闘技の試合でも見たことがないぐらいのすさまじいスピードと規格外の破壊力を持つ打撃で衝撃的なKO劇を連発し、コアな格闘技ファンや関係者の間では「とんでもない選手が出てきたな」とその怪物ぶりが囁かれていたことをよく覚えています。

そんな堀口選手は、プロデビューをする前のアマチュア修斗の頃からすでに際立ったエピソードを持っています。

修斗という総合格闘技団体は、アマチュアの組織や枠組みがしっかりと整備されていて、全国各地で開催されているアマチュアトーナメントの優勝者のみが出場権を得られる、年一開催の『アマチュア修斗全日本トーナメント』にて好成績を残した選手がプロに昇格できるという険しい道のりとなっているのですが、

堀口選手は初めて出場した、東日本選手権のトーナメントを優勝してすでにその実力が認められ、特例としてそのままプロに昇格を果たすという異例のプロデビューを飾っています。

五味選手やKID選手などもそうですが、日本の総合格闘技の有名選手の多くが前述した険しい道のりを経てデビューしたのに対し、このような初めての試合で飛び級扱いを受けてデビューするというのは通常ありえないことです。

過去を遡っても、怪物エピソードばかりが出てきて才能の塊としか思えない堀口選手ですが、KID選手が代表を務めるKRAZY BEEに入門してきた当初は、意外にも最初はとくに印象のないごく普通の一般生で、「バックボーンである伝統派空手が全く活かせていなかった」と、兄弟子の田村一聖選手は「shootoofficial」チャンネルのインタビューにて語っています。

堀口恭司の入門当時のエピソードを語る兄弟子の田村一聖選手

そんな堀口選手の才能が開花し始めたのは、前述したアマチュア修斗の東日本選手権トーナメントのまさにその最中だったようです。

この時の様子を、堀口選手の父・和徳さんはGONG格闘技の過去のインタビューでこう語っています。

「朝早くからジムの清掃をしたり、受付をやったり、寮暮らしをしていた恭司が、相模原のアマチュア修斗で初めての試合だっていうんで、見に行ったんです。

当日計量でフラフラで試合が始まったら、ちょっと空手で培ってきたものを忘れちゃってるなと思いました。

そのとき、二瓶館長(堀口選手の伝統派空手の師匠)が『恭司、おめえ何やってんだ。普通に突けよ』って言ったんです。

『ヘッドギアついてるとこ殴らねえで、真っすぐ突けばいいんだ』って。それを聞いたら次の試合からワンパンで終わりました。

出典:GONG(ゴング)格闘技 2017年5月号

実際に堀口選手のアマ修斗時代の映像が残っているのですが、前述の通り堀口選手の素早い踏み込みからのストレート一閃で、対戦相手からKO勝ちをしているシーンを見ることができます。

(※ちなみに相手選手は、現在では国内トップクラスの修斗ランカー、魚井フルスイング選手です)

アマチュア時代の堀口選手の右ストレートKOシーン

 

総合のプロになることを決意し、実家を出て東京で寮暮らしをしていた堀口選手は、栃木にある伝統派空手道場にも通わなくなり、知らず知らずに戦い方も変わってしまっていたそうですが、試合を見に来てくれていた空手時代の師匠のアドバイスを聞いて自分の形を取り戻し、それ以降は元々の栃木の空手道場も並行して通うようにしてから「全然負けなくなったし、タックルも取られなくなりました」と同誌のインタビューにて語っています。

同誌でも語られているように、堀口選手が他の選手と比べて明らかに異彩を放っているのが、この伝統派空手に趣をおくことで培われている踏み込みのスピードと長さです。

踏み込みのスピードと長さは、他の選手と比べても明らかに異質で、相手の方が大きく上背で上回っているのに、相手の打撃は全く届かず、身長&リーチで下回っている選手が自分の打撃だけを遠方から飛び込んで当て続ける光景というのは、堀口選手以外の試合ではなかなかみることができません。

堀口選手の踏み込みのスピードと長さがよくわかりやすい動画

この踏み込みのスピードと長さは、瞬発力を養おうと、ウェイトトレーニング、またはクリーンなどのクイックリフト系トレーニングや、プライオメトリック系トレーニングをいくら行ったところでも、それだけでは培うことはできない類いのものです。

下の動画なんかもかなり速いですよね。

間近で見るとさらに迫力が感じられます。

GONG格闘技の2016年8月号では、「進撃の巨人」の作者である諫山創氏と堀口選手の対談が掲載されているのですが、その対談の中で諫山氏が、「堀口選手の踏み込みを実際に測ってみたかった」ということで持参したメジャーで、堀口選手のパンチが当たる踏み込みの距離を測ってみたところ、150cm離れた距離でも射程圏内であったということだったので、実際に格闘技を行っている方は、メジャーでその距離を測ってみるというのも面白いかもしれませんね。

(※ただ、肝心のどこからを0cmとして測ったのか?という記述はなかったので…推測にはなってしまうのですが、自分の胴体から相手の胴体の150cmではそれほど遠い距離ではないので、恐らく堀口選手の軸足、または軸足の線上から村山氏の軸足、または軸足の線上をメジャーで測ったのではないかと考えます)

踏み込みもそうですが、堀口選手の伝統派空手を活かしたその強みのもう一つの大きな特徴としてよく言及されているものに、「前後左右に目まぐるしく動き続けるステップ」があります。

その自らのステップについて、堀口選手はGONG格闘技の別の号にて、K-1の人気選手である武尊選手との対談でこのような興味深い技術解説をしています。

(※武尊選手についても過去にその強さについてまとめた記事があるので、そちらもよろしければご覧になってみてください)

堀口:自分は左右前後にステップするじゃないですか?その時に一瞬だけ相手の反応が遅れることがあるんです。

例えば僕が左から右にステップした時、相手もそれを追いかけて身体の向きを変えますよね?

その向きを変えるスピードがこっちのステップについてこれてないのが分かるんですよ。

前後のステップも同じで、こっちが前にステップした時、相手のバックステップがちょっと遅れてたら「あっ、こいつ俺の踏み込みがわかってないなって思います」

 

武尊:そこまで分かるんですか?

 

堀口:多分ほんのちょっとの差で一瞬の出来事だと思うんですけど、自分にはそれが分かります。

また、対談では堀口選手は打撃において「自分のバランスが崩れないことと、相手のバランスを崩すこと」という点をかなり重要視しているようで、他にも興味深いコメントが沢山あるのでその中の一部を再び引用させて頂きます。

堀口:ボクシングとか足を止める練習を続けていると、足の動きが自分のイメージについてこなくなるんですよ。人間は脳から信号が出て身体を動かすじゃないですか?

だから脳に近い手は思い通りに動かせても、脳から遠い足を動かす事って難しいんですよね。だから足を動かす練習が必要で、逆に言えば足がちゃんと動けば理想通りの動きが出来ます。

 

武尊:ということは、空手の練習をすると神経の伝達がよくなるんですか?

 

堀口:まさにそれです。

 

(中略)

 

結局、人間は自分のバランスが崩れていると何もできないんですよ。上体が反って重心が上がっていたらパンチを貰うし、タックルにも反応できない。

だから少し話しを戻すと、“足”で相手に反応することが大事で、相手の動きに足で反応して、ずっと自分の構えをキープできていたらバランスは崩れないじゃないですか。

相手がどう動いても足で反応して常に構えておけば、さっき話したように相手のバランスが崩れる瞬間も見えるようになりますよ。

 

武尊:うわぁ、めちゃくちゃ勉強になります。僕も足の反応や崩しを意識して練習するようにします。

出典:GONG(ゴング)格闘技 2015年10月号

試合をみていると、その派手な試合ぶりから、身体能力の塊のような選手が持って生まれたものを存分に活かしてそのまま戦っているようにも見えかねない堀口選手ですが、このように一部の発言を切り取るだけでも、相手の動きと自分の動きを、思った以上にシステマティックに頭で明確に理解した上で戦っているということが伝わってきますよね。

こういった堀口選手の発言を聞いていると、格闘技というスポーツの奥深さを再確認することができます。

 

年内に実現か?キックルールでの那須川天心戦!

堀口選手は総合格闘技の選手ながら、その打撃のあまりのレベルの高さから、同じRIZINやキックの団体で活躍している神童・那須川天心選手とのキックルールでの対戦が見込まれています。(ちょうど、本日先ほどつぎのRIZINにて修斗の元王者・扇久保博正選手との総合の試合がアナウンスされましたが)

那須川天心選手は、堀口選手以上にその実力をフィーチャーされ、メディアでも盛んに取り上げられているので、格闘技ファンでない方でもご存知の方も多いかと思います。

これまでのキックボクシング史上最高の最高傑作と評されている選手ですね。

堀口選手は、これまで26戦のキャリアがありますが、パンチや蹴りをクリーンヒットさせられた場面すらほとんどみることができないので、那須川天心選手とキックルールで戦ったら一体どんな戦いになるのか?どちらが勝つのかというのは非常に見応えがある試合になることは間違いありません。

ただ、個人的にはUFC時代に唯一寝技で一本を取られ完敗している、現在のUFCでパウンドフォー・パウンドランキングNO.1(もし全ての選手が同じ体格だったらと仮定して1番強いのではないかと評価されている選手)のデミトリウス・ジョンソン選手を、RIZINに頑張って多額のファイトマネーを積んでもらって笑 何とか日本のリングで戦わせて欲しいとも個人的には思います。

堀口選手はこの敗戦を機に、単身アメリカに渡って世界トップクラスの名門ジムに移籍し、今では黒星をつけられた頃よりも格段に強くなっていますしね。

ジョンソンは組んでくるのでTV映えしない恐れはありますが笑

いずれにせよ、以前の記事で紹介した武尊選手や今回の堀口恭司選手、那須川天心選手のように才能豊かな若い選手が活躍している今の日本の格闘技は、世間的な人気こそ低迷してしまってはいますが、かなり見応えのある状況になってきたと言えるのではないでしょうか。

これからの日本の格闘技がどのように盛り上がっていくのか、非常に楽しみですね!

フィットネスジャンキーでした!

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